お盆と言えば、地獄の釜が開く日。
この時期に川で人が亡くなったというニュースが流れれば、「足引っ張られたんやね」などという会話が交わされていたのが私の家庭です。
なんでもうちの母は、そういった霊的なもの?を感じるらしく。盆になると、今年は誰かが帰ってきてるだとか、うちの場合は玄関の方向から入ってくるんだよとか、そんなことを自然と言うような人でした。
幼稚園のお泊り保育に数珠を持たされたり、狐という名を口にしてはいけないと言われていたり、変なことはいくつもありました。
中学生くらいまでの私に、幽霊はいる?いない?と聞いたら、たぶんそういった存在はいると答えていたでしょう。
ただ、さすがに今はそんな存在はいないと思っています。
母と違って私はそんなもの見たことありませんし、いたところで関係のない存在です。
スピリチュアル系は娯楽としては面白いですが、真に受けるのは馬鹿げていると思っています。
しかし、そんな私でも一つだけ、どうしても説明のつかない体験をしたことがあるのです。
15年以上たった今でも忘れることのない不思議な体験です。
幽霊の存在を信じない私の経験した唯一の不思議な話
小学生2〜4年位の頃の話。
私の家から最寄りのスーパーへ行く道は、主に2つありました。
一つは住宅街の中を突っ切る道、もう一つは古い墓地の横を通る道です。
墓地ルートの方が近道なのですが、その道は母から絶対に通っては行けないと言われていたので、普段は住宅街を通るルートを使っていました。
しかしその日は、ふとした好奇心で墓地の横を通るルートでスーパーへ行ったのです。
実際にその道自体は、特に変わった所の無い平凡な一本道でした。
左手にはブロック塀があり、その上にはアパートや駐車場があります。そして右手は、戸建ての住宅が続いた後に古い墓地に変わります。
私は何も異常を感じずその道を通り抜け、いつも通りお使いを済ませ帰宅しました。
帰ってからも母は何も言わなかったので、あの道の何が悪いのか私にはよく分かりませんでした。
しかし、次の日の朝。
母から言われたのは次のようなことです。
「昨日あの道通ったでしょ?昨日の夜、鬼女が夢に出て来て、帰ってもらうの大変だったんだから。あそこの鬼女は気性が荒いから、もう通ったらだめよ」
私は衝撃をうけました。
もちろん、あの道を通ったことは母に告げていません。
なのに、なぜ母は私があの道を通ったことが分かったのでしょうか?
母が尾行していた説、誰かが私の姿を見ていて母に伝えた説を考えましたが、それならなぜ次の日の朝になって言ってきたのでしょうか?
ちょっと説明のできない不思議な話ですね。
無理はあるけど考えられる仮説
私は鬼女はおろか、幽霊すら妄想や錯覚の類だと思っているので、ファンタジーを取り除いた説明を考えてみます。
まず、あの道を通ってはいけないと母が言っていた理由ですが、墓地に続くまでの住宅街に面倒な人が住んでいたのではないでしょうか?
母は、あの地区の人間は人間性が…、などと属性で他人を判断するようなところがあったので、差別という理由があったのかもしれません。
ただ、あの住宅地に関してそのような話を私は聞いたことがありません。母はこのあたりの出身でもありません。
あとは不審者情報でもあったのかもしれません。住宅街ルートと比べると、人気は少ないので、一度くらいは不審者情報が流れてきていてもおかしくはないでしょう。
母は不審者情報に敏感で、一度起こったことを根に持つ頭の固いタイプの人なので、ありえないことでもないです。
そして、なぜ私があの道を通ったことがバレたのか?
尾行説、他人からの告げ口説のいずれも可能性は低いですが、考えられる中では他人からの告げ口説がまだ可能性はあるのかなと。
- 夕方にお使いに行く
- ママ友が来て、お話をする中で「さっきあそこで私君を見たよ」なんて話がされてバレる
- 夢の中で鬼女に会ったという話を作り、私に行かないように注意する
ただ、そのママ友が来ていた記憶も無いですし、やっぱり説明に無理がありますね。
よく分かりません。
【まとめ】幽霊はいる?
母の語る、その他の変な話や不思議な話はすべて母の妄想で片付けることができますが。
この話。私が実際に体験したこの話だけはどうしても説明がしにくいです。
もちろん先述の説や、ただ単に母の感が当たっただけなのかもしれませんが、いずれも可能性は低いですね。
最後に幽霊はいるのか?という話ですが。
私はいないと思っています。霊が見えるなんてのも幻覚で、そういった病気とまではいかなくても、ちょっとした体の異常なんじゃないかなぁと。
だから、この先医療科学が発達すれば、それらの存在を説明できる日が来るんじゃないかと思います。
ただ、すべての謎を解いてしまえば面白みがありません。
スピリチュアル、非日常は日常に刺激を与えてくれる存在。
夕暮れ時の神社に、一人ぼっちの夜道に、妄想によるスパイスを与えてみるのも面白いでしょう。