生物・野食

ハスってどんな魚?食べてみた感想と生態

湖北では、初夏に川へ行ってみるとフナくらいの大きさのスマートな魚が高速で泳いでいるのを見かけます。

オイカワに似たその魚の名前はハスです。

筆者の家の近くの河川にも6月頃から見られるので、採りに行くことがあります。

あまり知られていない魚ですが、けっこう美味だったりするんです。

そこで今回は、ハスの生態と食べてみた感想をまとめてみました。

1. ハスってどんな魚?

 


下2つがハス、上がウグイです。

全長は25~30㎝で、スマートな体型をしています。
下顎が突出しているため、横から見るとしゃくれているのが特徴です。
また上あごに欠けている所があり、下あごの突出部がそこにはまっているため、口は横から見るとへの字に曲がって見えます。

日本のコイの仲間では珍しい唯一の魚食性の魚です。
琵琶湖ではアユやヨシノボリなどをよく食べていて、食物連鎖の上位に君臨しています。

遊泳能力が高く、猛スピードで獲物を追いかけて直接捕食します。
また琵琶湖での生態調査より、一地点で放流したバスが湖全体で確認されたことから、長距離の遊泳能力も高いようです。

 

分布・生息地

自然分布は福井県の三方五湖と、滋賀・京都・大阪の淀川水系ですが、琵琶湖産アユの放流とともに全国に広がりました。

現在では、関東地方、中国地方、九州地方などにも生息しています。
魚食性のため、移入先では在来種への捕食の影響が懸念されています。

 

2. 琵琶湖でのハスの一生

 

ハスは5月下旬から8月にかけて、川の砂地に産み付けられた卵から誕生します。

幼魚の時期はそのまま砂礫地で、ミジンコなどの動物プランクトンを食べて過ごします。

稚魚の後期になるとエビや小魚も食べるようになり、湖のやや沖合まで移動するようになります。

成魚になると琵琶湖の全体に分布するようになります。
そして、餌のほとんどをアユ、ヨシノボリ、コイ・フナの稚魚などの魚類が占めます。

5月下旬から8月にかけて、卵を産むために川に帰ってきます。
卵は川の流れの緩やかな砂地の底に産み付けられます。

川→琵琶湖→川という風に回遊して暮らしているんですね。

琵琶湖でハスをとるなら6月頃に、琵琶湖の流入河川や湖岸で探せば見つかります。

 

3. ハスを食べてみた感想

 

ハスはもともと琵琶湖では、伝統的に食べられている魚です。
実際に滋賀県では湖の魚を扱っているお店で食べることができますよ。

今回はシンプルに塩焼きにして食べてみました。
小骨が多いので適度に骨切りをしてから焼きます。

味は淡白ですが、くせがなくて美味です淡白なので塩を多めにかけると美味しいですね。
どことなくアユのような味もします。同じ癖がないでも、ニゴイのような雑食系のくせが無く、しっかりとした肉食魚の美味しさが感じられます。

ふつうに美味しい魚なので日常的に食べても良いかなというレベルですね。

その他として、洗いやフライにしても美味しいそうです。

4. 実は絶滅危惧種にも指定されている?!

琵琶湖北湖ではそこそこ見られ、食べられている魚ですが、琵琶湖での漁獲量は1955年には年間約200tあったものが、2010年頃には約35tにまで減少しています。

またもう一つの自然分布地である福井県の三方五湖では、1993年以降確認されていません。

その結果、ハスは環境省のレッドデータブックで絶滅危惧Ⅱ類、福井県版では絶滅危惧Ⅰ類、滋賀県版では希少種に指定されています。

 

なぜ減少した?

減少原因としては…
①ブラックバス、ブルーギルなどの外来魚との餌資源の競争

②生息や卵を産むのに適した砂地の減少

③瀬切れによる遡上阻害

などが考えられています。

具体的には川の岸や底がコンクリートで護岸されて砂地が無くなってしまったり、農業農業用水などの取水によってその下流域で水が無くなり遡上できなくなる事などです。

上流で水を取って、パイプを使って下流域や琵琶湖に直接水を流してしまうと、取水した所~使った水を流したところまでの区間に水が無くなってしまうわけですね。

 

ハスという魚まとめ

あごのしゃくれたユニークな姿をしていて、滋賀県では伝統的に食べられてきたハスですが個体数は減少していると考えられているんですね。

2018年現在の漁獲量は16tになっていて、1955年の200tの8%程度……

猛スピードで魚を追いかけるハスの姿がいつまでも、初夏の川で見られれば良いものです。

ただ味は美味しいので、滋賀に来る機会があれば一度食べてみてはいかがでしょうか?