生物・野食

オオバン 琵琶湖でカモより多い鳥の生態

カラスが泳いでいる!

そんな話が野鳥センターに届いた事があったそうです。

もちろんそれはカラスではなく、正体はオオバンという鳥。

近年琵琶湖ではオオバンが増加して、カモ類を抑えて、全水鳥の個体数のトップになりました(水鳥生息数調査 滋賀県)。

今年は比較的少ないようですが、実際に筆者の家の前の水路でも毎年見られて、水路脇の農道を多いつくすような時も…

そんなオオバンですが、全体的に丸い体型や、泳ぐときに首を前後させる所など、意外と可愛らしい鳥だったりします。

今回はオオバンの生態や魅力をまとめてみました。

1. オオバンの外見

 

全身が黒く、くちばしと額が白いです。

体型は比較的丸く、肥満体型に見えます。

本種の特徴として、足指が長く、ヒレ状の水掻きを持っていて、水上生活に適した形をしています。

 

2. 分布・生息環境

 

北海道、本州、九州の一部で繁殖します。

東北の北部以南では留鳥または冬鳥、北海道では夏鳥です。

主に水性植物が生える湖沼、池、河川、水田などの淡水息を好んで生息します。

生息環境はバンと似ていますが、本種はより広い水域を好みます。

 

3. オオバンの食性

 

基本的に雑色ですが、植物食傾向が強いです(イギリスでの研究では餌の84%が植物)。

水性植物の他には、小魚・昆虫・軟体動物などを食べ、希に鳥の卵やヒナも捕食します。

 

4. オオバンの行動

 

前述のように水掻きを持っているため泳ぎが上手く、潜水して水草などを採取します。

かなり深くまで潜れるようで、7mまで潜った記録があります。

泳ぐときにはバンと同じように首を前後にふる様子がユニークです。

また体重が重いため、飛び立つ時には水面を走って助走するようにして飛び立ちます。

バンと違って基本的には群れを作ることが多く、夜間にはカモ類の多くのように群れで集まり水面で眠ります。

 

5. オオバンの繁殖の生態

 

繁殖期は4~8月で、年に1~2回繁殖します。一夫一妻です。

繁殖期には縄張りを形成し、湖沼のヨシ原や草むらの水面に巣を作ります。巣は皿型で、枯れ草を使って作られます。

卵は一日一つずつ、5~10個産卵されます。

雌雄交代で暖められた卵は21~24日でかえり、生まれたヒナはふ化後すぐに泳ぐことが可能です。

ふ化後2ヵ月までは親から餌をもらい、オスにつくヒナと、メスにつくヒナに分かれ、うまく分担します。

またふ化後1ヵ月で潜り始め、自力で餌を採れるようになります。2ヵ月後には飛べるようになり自立します。

 

6. 琵琶湖で急増

 

今年は琵琶湖全体の水鳥の飛来数が少ないと言われていますが、それでも全水鳥の中で最多の個体数を記録しました。

これには

1.海外の繁殖地で繁殖成功率が高まったり、繁殖地域が広がったりしている可能性

2.個体数の減少している地域もあることから、他地域のオオバンが集結している可能性

などが考えられています。

ここ2年は減少していますが、数が多いことには変わりありません。詳しい影響は分かっていませんが、水草の捕食による生態系への影響が指摘されています。

 

7. 琵琶湖オオバンまとめ

 

2015年には国内の越冬個体の6割以上が琵琶湖に集結していたと言われていましたが、現在は別々の場所へ散りつつあるようです。

関東ではレッドデータブックに載っているような種なので、群れで移動して地域ごとに増減を繰り返すような印象ですね。

レアなところではレア、居るところにはたくさんいる。そんな傾向のある種だと思います。

琵琶湖には腐るほどいるので、オオバンを見たい方はぜひ一度琵琶湖へ来てみてはいかがでしょうか?