生物・野食

サナダムシの驚くべき感染経路とは?症状と駆除方法まとめ

「サナダムシ」という寄生虫がいます。
こいつが数年前に話題になったのは、ダイエットに使えると噂されたからです。

内容は、サナダムシの卵を入れたカプセルを飲み込んで、意図的に寄生してもらうことで、余分な養分を吸い取ってもらうというものだったようです…
現在ではあまり噂も聞かなくありましたが、その後どうなったのでしょうか?

今回はサナダムシダイエット、サナダムシの生態、寄生された場合の症状、その駆除方法などをまとめてみました。

 

1. サナダムシを画像でチェック

 


出典:wikipedia

厚みはほとんどありませんが、体長は長いものでは10メートルに達することもある大型の寄生虫です。
その形態から英語圏では「テープ虫」と呼ばれたりします。

構造は、頭部とたくさんの節に分かれています。
節のそれぞれには生殖器が備わっているため、それぞれが一つの個体という考えもできるようです。
また、くっ付く際には頭部に付いている吸盤と鉤で吸着します。

人間に寄生する場合は腸管にくっ付いて成長します。

 

2. サナダムシの人間への感染経路・原因

 

クマなどの便によって排出されたサナダムシの卵は、水中で孵化してケンミジンコなどの動物プランクトンに取り込まれます。

動物プランクトンが捕食されて、サケやマスなどの魚に移ります。

人間がサケやマスを生で食べることにより、体内に侵入します。

このように、人間への侵入経路はサケやマスを刺身や寿司などで食べることによるものです。

感染事例としては…

北海道旅行した祖父が「時知らず」と呼ばれている生サケを保冷宅急便で送ってきたので、家族で刺身にして食べたところ、家族全員の5名が日本海(広節)裂頭条虫に感染した。
出典:http://www.tokyo-eiken.go.jp/assets/issue/kurashi/ck43/2001430all.pdf

ということがあったようです。

もともとはサケを生で食べられる北海道・北陸・東北などに感染例が多かったのですが、近年では輸送システムの発達に伴って全国で感染例が発生しています。
2007年~2011年の11年間には、439人の感染例が確認されたそうです。

番外
某寄生虫学者さんから聞いた話ですが、コストコのサーモンにはサナダムシが多いのだそうです。
肉眼でも確認できるので、買った際には探してみましょう。

 

3. サナダムシが人間に感染した時の症状

 

サナダムシは幼虫の状態で入り込み、体内で成虫になるため、症状がでるまでには1~3週間のタイムラグがあります。

症状は腹痛下痢・腹部の不快感などですが、
その多くは軽い症状で済むため、特に問題視されないことが多いです。
実際に、サナダムシが肛門から出できた時に感染に気付くことが多いそうですね。

また一部では、サナダムシに栄養を吸い取られることにより体重が減少する場合があります。

 

4. サナダムシ感染の検査と駆除・治療方法

 

サナダムシの成虫や卵は、便の中に排出されます。
そのため検査では、検便によりサナダムシの存在を探します。

毎回の排便時に、必ずサナダムシが排出されているわけではないので、数回検査を繰り返す必要があるそうです。

治療としては、主に駆虫剤、虫下しの内服薬で虫を排出させます。

 

5. サナダムシの感染症に対する予防法

 

生のサーモンを食べる際には、よく観察して除去するしかありません。
サナダムシの幼虫は肉眼で認識可能な大きさなので、よく見れば発見できます。

酢や薬味などでは、ほとんど影響をあたえられません。
よく噛めば大丈夫という情報もありますが、サナダムシは柔らかくてよくちぎれるので逆に数が増えると考えられます。

確実なのはしっかりと中まで加熱することです。
サナダムシに関しては、加工食品の中心温度が60℃以上になれば安全だとされています。

また、冷凍の場合はマイナス20℃で2日以上、冷凍する必要があります。
ちなみに家庭の冷凍庫は平均マイナス18℃に設定されているので、微妙な所です。

 

6.  サナダムシダイエットとは

 

サナダムシを腸に寄生させて、栄養を吸収させることにより、体重を減らすというダイエットです。
さらに寄生虫の感染が、花粉症などのアレルギー症状を緩和するなどとも謳われています。

花粉症は外部からの刺激に対して、体が過剰に反応して悪影響を及ぼすものです。
そこで虫に寄生されて常に刺激を与えられることで、花粉症の原因物質への刺激の方をやわらげようという考えですね。

これらの話は一時期話題になりましたが、科学的には効果が証明されていません

むしろサナダムシにビタミンやミネラルなどの栄養を取られることによって、貧血・肌荒れ・胃腸障害などを引き起こす可能性が指摘されています。
一部の種については、脳に入り込んで意識障害を起こし、命の危険をもたらした事例も存在しています。

 

7. サナダムシの感染経路など生態まとめ

 

サナダムシに感染されたとしても、下痢や腹痛で済むので心配ありませんが、
気になる方は今度からサーモンを観察したほうがよさそうですね。

ただし今回扱ったサナダムシは、日本海裂頭条虫というもので、全てのサナダムシが比較的軽い症状で済むわけではないので注意してください。

噂のダイエットについては、すでに行われていないと考えてよいでしょう。
結局、楽に痩せられる方法なんてないということです。

もしサナダムシに興味が出できたならば、目黒寄生虫館に行ってみましょう。
全長8.8mのサナダムシ標本を見ることができますよ!

また、一般的にイメージされるのは日本海裂頭条虫ですが、もっと小さなサナダムシ(条虫)はその辺のナマズなんかにも付いていたりしますよ。良かったら探してみてはいかがでしょうか?

以上、サナダムシの生態まとめでした!