生物・野食

マムシの特徴を画像で解説 意外と知らないその生態

毒蛇といえばマムシが筆頭に挙げられるでしょう。

日本には他にもハブやヤマカガシなどの毒蛇が棲息していますが、
二ホンマムシは私たちの周りで最も身近に見られるヘビです。

その身近さゆえに、犬や人が噛まれてしまう事故が、毎年多く発生しています。
現在でも年間約10人がマムシに噛まれて命を落としているほどです。

そんな恐ろしい毒蛇のイメージが強いハブですが、その生態については意外と知らない人も多いのではないでしょうか?
そこで今回はそんなマムシの知られざる生態についてまとめてみました。

 

1. マムシの見た目の特徴


https://blog.goo.ne.jp/higasiyamaikoinomori/e/d184262100bf16d1cfa8a13508787ebe

外見的特徴は以下の3つです。

1.ずんぐりとした太短い体型
2.やや大きな長三角形の頭
3.背中の銭形模様

マムシは全長40~50cmの太短い体型をしています。
尾も短くて、あごが張り出しています。

頭は長三角形でやや大きめです。
背中には褐色の地に銭形の模様があるのが特徴ですが、模様や色には変異があります。

 

2. マムシはどこにいるか?

山地の草むらや林の中、谷間などでみられます。
水辺の環境を好み、水田や小川の周辺でも見かけることが多いです。

山菜採りや農作業中の被害例が多いことから、山道や農耕地では注意が必要です。

山道をあるいていくと、たいていのヘビは逃げて行ってしまいますが、日光浴をしているマムシは、そのまま動かないこともしばしばあります。

動かないマムシの模様は落ち葉の上では見つけにくいため、気づかずに近寄って噛まれてしまわないように気を付けましょう。

 

3. マムシの食性と天敵

 

マムシはカエル・トカゲ・鳥・ネズミなどを中心に様々な小型の脊椎動物を食べます。
天敵は、タカなどの猛禽類・イタチ・イノシシなどです。

 

4. マムシの一生

 

4~5月
冬眠から目覚めます。
冬眠後の温暖な日には、体温を上げるために日光浴をよく行います

7~9月
繁殖期を迎えて、子供を妊娠します。
実はマムシの繁殖様式は、卵を産まない胎生です。

メスはすぐには妊娠せず、受け取った精子を使って翌年の6月頃に妊娠します。
一度精子を受け取れば2回以上の出産も可能というこの仕組みは、遅延受精と呼ばれています。

7月から8月にかけては、人が咬まれる事故が最も多い時期です。
この時期には妊娠している雌が、胎児の発育を促進するために日光浴によく出て来て、結果として人との接触機会が増加するからと考えられています。
また妊娠中の個体は神経質になる傾向があり、噛みつきやすくなっている場合があります。

8~10月
妊娠期間は90日ほどで、1回に2~13匹の幼蛇を産みます。
幼蛇は生後2年で性成熟し、メスは3年で最初の出産を行います。

10月~11月
土の中などで冬眠に入ります。

地域により季節にずれはありますが、概ねこのような1年を過ごしています。
マムシの寿命は、飼育下で10年以上生きた記録があり、野生個体の寿命も10年程度と考えられています。

 

5. マムシの生態まとめ

毒蛇として認知されているマムシですが、性格はおとなしく、動作も素早くありません。

噛まれないためには…

1. 不用意に近づいてちょっかいを出さない
2. マムシのいそうな場所にできるだけ近づかない

この2つに気を付けましょう。
石垣や落ち葉の上では分かりにくいですが、こちらが先に見つけて近づかないことが重要です。

それでも噛まれてしまった場合はすぐさま病院に行きましょう。
放置することは危険で、6時間以内の血清の投与が推奨されています。

以上、マムシの生態をまとめてきましたが、近年ではマムシの個体数も減少しているようで…
東京・千葉・奈良などの複数の都府県で絶滅危惧種に指定されています。

マムシの場合は生息環境の悪化に加えて、ヒトからの選択的な駆除が減少原因としてあげられています。

滋賀県レッドデータブック(2010)から一文を引用すると…

毒蛇であるために、人間に忌避され、選択的に駆除されることが多いので、本種を生態系の一員と認めて保護することが必要である。

今回の記事を通してマムシへの見方が変わったらいいなと思います。
以上、マムシの生態まとめでした!