私は将来、自給自足を目指した生活を送りたいと考えています。
しかし、農業やDIYの知識や経験は皆無に等しいです。
そもそも、どこに住み、どのような生活を送りたいか。具体的な生活がいまいち想像できません。
そこで、まずは自給自足関連の本を読み漁り、勉強することにしました。
本記事では、読んだ自給自足関連の本の書評をまとめながら、自分の理想とする生活の具体的な姿を考えていきます。
新しい本を読み次第、考えが代わり次第、随時更新していく予定です。
同じように自給自足生活を計画している方の参考にもなればと思います。
Contents
自給自足生活の関連本
完全版 自給自足の本
大自然の中で畑を耕し、家畜を飼う生活は、大昔に戻ることではなく、実は、未来をめざした暮らしではないだろうか。頭脳と体を駆使した暮らしを取り戻す。
- 土地の開墾の方法
- 家畜の飼い方
- 作物の育て方
- 野生の恵みの利用法
- 自然エネルギーの活用法
など、開墾~収穫物の加工方法まで幅広い内容を非常に具体的に書いています。
例えば、チキンのつくり方の項目では、鶏の飼い方~屠殺して調理するまでの過程が書かれています。
完全なハウツー本なので、いざ自給自足生活を始めてみてから役に立ちそうです。
一方で、話の舞台は1980年頃のイギリスであるため、現代日本の環境には適応しにくいものも多く…
- 岩を砕くにはダイナマイトも使える
- 5000坪の土地利用法
- 私はアフリカで数百頭の鹿を撃ったが
などのぶっ飛んだ描写も存在します。純粋にネタ本としても面白いです。
あとはイラストたっぷりなので、読みやすいのも良いですね。
山猿流自給自足
59歳で丹波の山中に移住した作者が、自ら土地を開墾し、家を建て、自給自足生活を送るまでの過程が書かれています。
この作者がなかなか面白い方で、元々の職業はジャーナリスト。
世界企業は、安上がりに地球資源を使った世界製品で、世界中に資源をばらまき、地球環境破壊の元凶となっている。その実際を告発し、産業経済や暮らしは、その土地の資源を使ってその土地に戻し、自然の流れに沿う方向へ転換していくべきだと主張してきた。
引用 : 本書 はじめに
物質循環の輪を壊さないために、地産地消を心掛けるべきだ、という主張です。
実際に作者は、地元産の間伐材や石材を使って家を建て、畑の柵や家具などにも裏山で採ってきた木材を利用するなどしています。
自家採種、自家肥料の生産も行い、海外産の種子や化学肥料は使用していません。
特に面白いのは鶏の飼育の内容です。鶏は放し飼いで飼育していて、サワガニも食べれば蛇も食べる。人工孵化で継代飼育していくうちに、就巣し、自然孵化に成功するまでにいたりました。
過密な環境で大量に育てられ、最終的には賞味期限が切れて廃棄されることもある鶏達。
倫理的にどう思うかという話ですが、私はそのような仕組みを良く思いません。
だからといってビーガンになる程ではありませんが、そのような仕組みには賛成したくないので、鶏肉・鶏卵の自給もしていけたらと思うようになりました。
前略。農家、はじめました。
すぐに始めたい人と、「いつかはね」の人へ。頑張らない田舎ぐらしのやり方を、教えます。
引用 : 本書 表紙
軽井沢にて自給的生活を送る老夫婦のエッセイです。
お二人が畑を始めようと思い立ったのは60歳を越えてからということで、ある程度、資金的には余裕が感じられます。
そのため収入を得る目的で農家をされている訳ではなく、自給自足という目的で作物を育てられています。
ただし、その内容はなかなかハードです。
化学肥料や機械を極力使わないという方針のため、開墾はトラクターで30分で終わるものを、人力で3ヶ月かけて行います。
農薬を使わない畑は、雑草と虫だらけです。
そのような畑で様々な作物を作り、収穫して加工するまでの流れが、春夏秋冬の章ごとに綴られています。
季節ごとの作業内容と、そこで感じる苦労や喜びが純粋に書かれていて、農的な暮らしを疑似体験できるような内容です。
個人的には、本書の末章に印象に残る考えを発見することができました。
便利な都会にいた頃「しっかり生きている」という実感がなかった。山歩きをしていた非日常の中でだけしか生きていなかった。
引用 : 本書終章
確かに、たまに行く貧乏旅行や野食から感じるのは、いま私は生きているという実感です。
このことを知って、私が自給自足生活に惹かれる理由が分かりました。
半農半林で暮らしを建てる 資金ゼロからIターン田舎暮らし入門
作者は、28歳の時に彼女とともに新潟に移住し、農家と林業を兼業しながら暮らしを立て、3人の子供を育て上げた人物です。
大学の哲学科を卒業し、環境NGOに就職した後、移住を決めたという経緯をお持ちで。
第一次産品を日本が外へ求めることがどれだけそこに住む人たちを苦しめているか。第二次世界大戦は終わっても、ぬるい私たちの生活の裏で経済侵略は続いている。
引用 : 本書 p37
海外の環境破壊・人権侵害の上に成り立つ日本の生活。そういった社会への反骨精神から一次産業への従事を志されました。
内容的には、季節ごとの作業内容の他に、農業・林業・集落での暮らしの実態なども書かれていて、影の部分も知ることができます。
私たちの暮らしが、海外の環境問題や人権問題に繋がっているということはなかなか実感できません。
しかし本書を読んで、そのような問題に自分自身が関わっているという意識を持つ必要があると感じました。
普段使っている商品も、その背景を考えて、納得できるものを使っていきたいですね。
週2日だけ働いて農業で1000万円稼ぐ方法
親の介護のため実家のある北海道へ移住後、親元就農をした筆者が、週2日だけ農業をして1000万円を稼いだ方法を紹介しています。
主に新規就農者に向けて書かれているので、以下のような内容が書かれています。
- 稼ぎやすい作物の種類
- 農業に参入してよい土地
- 機械類の購入費は中古で抑える
- 直販ではなく農協経由が良い
- 農業研修より農家でアルバイト
- 単純作業や機械が必要なものは外注化
作者は親元就農であり、すでに機械を持っていて、土もできている状態からのスタートだったので、純粋に真似をして稼げるという内容ではありません。
しかし、作物によって収益に大きく差が出る可能性があることや、機械類に金がかかること、農協の機能など、参考になることは多いです。
そもそも農業で金持ちを目指す方へというあとがきもあるくらいですので、パートやアルバイトを雇い、規模拡大して稼いでいきたい人向けの本かなと思います。
自作の小屋で暮らそう-Bライフの愉しみ
山梨の雑木林に自力で小屋を建てて暮らした筆者が、小屋暮らしの方法などを記しています。
本書は自給自足についてメインに書かれた本ではありませんが、
- 山林の購入方法
- ホームセンターの材料で小屋を建てる方法
- 太陽光発電での暮らし方
- 小川の水の利用
- 屎尿の処理
などなど、参考にできるところがたくさんありました。
また、筆者はBライフという言葉を作ったことで有名な方です。Bライフとは、筆者曰く以下のようなライフスタイルのことです。
安い土地を買って、そこにテントを張るなり、ダンボールハウスを作るなり、自分で小屋を建てるなりして住んでしまおうというライフスタイルです。ホームレス以上、一般市民以下、「土地持ちホームレス」くらいの気持ちで、誰にも文句を言われずにいつまでも寝転がっていられるローコスト生活を志向しています。(引用:寝太郎ブログ)
削れるところは最低限にして(Basic)、必要な場所には金をかければ良いというBライフの思想は、資源の無駄を良しとしない自給自足生活とも相性が良いと思います。
自給自足生活をするとなれば、リモートで十分な収入を得ている人でない限り、多かれ少なかれ収入は減少すると思うので、最低限の水準でも生きてはいけるというBライフの思想を知っておくと気が楽にもなりますね。フットワークも桁違いに軽くなります。
循環型の生活の追究という目的以外に、遁世系の目的から自給自足を目指そうという人にもオススメできる一冊です。
ぼくは猟師になった
大学を卒業後、京都で猟師になった筆者が、猟師になるまでの経緯となってからの生活の様子が書かれています。
猟師といっても仕事は主に猟期の冬場のみ。本業は別の仕事をしていて、猟期には仕事前と後に罠の見回りをしているような生活です。
僕が猟師になりたいと漠然と思っていた頃、「実際に猟師になれるんだ」と思わせてくれるような本があれば、どれほどありがたかったか。
いろいろな意味で、現代の日本において猟師は多くの人々にとって遠い存在であり、イメージばかりが先行しているようです。
本書を読んで、少しでも現代の猟師の生身の考えや普段の生活の一旦を感じていただけたらありがたいです。
引用:本書まえがき
現在は素人が猟師になりました系の書籍はいくつか出版されていますが、ワナ猟に特化した本はまだまだ少ないです。
また、動物の捕獲法〜命の奪い方〜料理のレシピなど単なる方法の紹介に留まらず、猟師になるに至った経緯や普段の生活の様子までかなり具体的に書かれているのが本書の魅力だと思います。
多かれ少なかれ、猟を取り入れた自給自足生活に興味があるならひとまず読んでおくべき一冊です。
まとめ
多くの作者は化学肥料の使用には反対の立場をとっています。化学肥料は石油を原料としている他、土中の生態系を破壊させうるというのが理由です。
自給自足生活を目指す人には有機栽培を目指す方が多く感じます。複数の自給自足関連の本を読むなかで、私自身もそちらの農業を行いたいと思うようになりました。
もちろん生業として農家を志す場合、そのようなやり方で金を稼ぐのは厳しいような感じがします。
しかし、そのようなやり方で暮らしを立ててらっしゃる方もいるので、ある程度の貯金を蓄えた上なら十分現実的だと思います。
現状、私が目指すものは…
- 有機栽培農家
- できる限りの地産地消
- 鶏を飼う
このくらいのものです。
さらに関連本を読んだり、思想・計画が変わり次第、随時更新していこうと思います。
※追記
農業で1000万円稼ぐ方法という本を読んで、農業には初期費用がかなりかかりそうだということが分かりました。
他にも、作物の相場価格が急落して畑ごと作物を廃棄したという話や、最後に作物が病気にかかると全てが水の泡に化すという話は印象的でした。
新規就農だと補助金などのサポート制度を使える場合もあるので、それは考慮すべきですが。借金をして就農し、規模拡大しなければ稼げない中で、病気・天候・相場価格などの負のリスクを負いながら働き続けるということをしたいかという話です。
実際に、就農10年以内の新規参入者2,265人に就農後の農業所得を聞いたところ、「生計が成り立っていない」と答えた人が75.5%に上ったというアンケート結果もあります(マイナビ農業 2020)。
私がやりたいのは自給自足生活であり、自分一人をまかなうくらいなら家庭菜園で十分なのではないか?
農業を仕事にまでする必要はないのではないか?
というのが今の考えです。
鶏を飼いたい、できる限りの地産地消を心掛けたいという思想は変わっていません。
それに加えて、鶏と大豆だけでタンパク質枠をまかなうことは難しいので、魚を食生活に加えるべきだと考えています。
そのため、どこに住むかという点については「海から遠くない場所」が良いと考えられます。
魚獲りと家庭菜園と養鶏の三本柱での生活がやりたいことに近いかもしれません。
あとはどこまで自給したいかという話ですね。
また、自給自足生活を目指す方は山奥に移住する方が多いです。タンパク質枠に哺乳類や鳥を設定している、土地が安い、木材を得やすい、などが山奥に住む理由だと思いますが。
果たして、自分の場合は山奥に住むべきなのかどうか?
これを今後は考えてみたいと思います。
※追記
「ぼくは猟師になった」を読んで、私は山奥ではなく、海の近くに住みたいなと思いました。
タンパク質枠は、哺乳類ではなく魚でいこうということです。
作者は、冬は猟をして、夏は釣りをして、野草や木の実も採取するという半自給自足といえるような生活を送っておられるので、タンパク質枠を魚と肉に分ける必要はないとも感じました。
しかし、猟はバリバリの集団行動が必要になります。その一点で私は正直嫌だと思ってしまいました。
私の目指す生活には隠棲の要素も含まれているようで、人知れず魚を獲って暮らす方が向いているようです。
逆に、他人との関わりや集団行動が気にならないなら、猟師という選択もありだと感じたので、山奥を拠点でも問題ないと思います。
むしろ、木材の得やすさや土地の安さは山奥の方にメリットがあるので、魚や集団行動にこだわらないならそっちの方が良いかもしれません。
※私用メモ 自給自足と関係ないですが、ビオトープ、ハチ呼びの竹筒設置したい。
さらに関連本を読んだり、思想・計画が変わり次第、随時更新していきます。