初夏から秋にかけて、道端や畑の畔などでみられる野草「スベリヒユ」。
園芸種のポーチュラカとしても知られる雑草ですが、実は食べても美味しい立派な食材です。
実際に山形県では「ひょう」と呼ばれ山菜の一種として認識されていますし、沖縄でも「ニンブトュカー」という名で食用にされています。
私も夏にみかけるとたまに食べていますが、癖が無くてなかなか美味だと思います。
本記事では、身近な食べられる雑草スベリヒユについての情報をまとめてみました。
スベリヒユとは?
日本全土で見られ、畑・道ばた・空地などの日当たりのいい場所に生えます。
葉は肉厚で、夏から初秋にかけて6~7mmほどの黄色い花を咲かせます。茎は赤紫色を帯び、分岐しながら地面を這うように成長します。
また、夜間にCO₂を取り込み、昼は気孔を閉じることで、水分を紛失をおさえるという光合成の形態をとっています。これは砂漠に生息する多肉植物に多く見られるもので、スベリヒユも多肉植物と呼ぶことが出来ます。
よって耐乾性があり、乾いた道端などでも生きることが出来るわけです。
味に関しては、光合成の過程でリンゴ酸を蓄積するため独特の酸味をもち、オクラのようなぬめりのある独特の食感をしています。
個人的にはほうれん草の味に近いと感じます。癖が無くて食べやすく、野草の中ではけっこう美味な方です。
スベリヒユの栽培方法・育て方
夏~秋に果実が熟し、極小の黒い種が大量につきます。
これを採取して撒いておけば、春から初夏にかけて発芽します。
雑草なのでとくに手をかける必要はなく、かってに育ちます。プランターの隅に生えてきたものを放置しておけば、いつのまにか食べ応えのあるサイズまで育ってくれます。
耐乾性があるので多少水やりをさぼっても問題ありません。
スベリヒユのおすすめの食べ方・調理法
根以外は軟らかいので、茎も葉も全部食べることができます。
切るとオクラのような粘り気が出てくるので、さっとゆでた後に切った方が良いです。長くあく抜きをする必要はありません。
茹でた後のものはおひたしにしたり、豆腐や他の野菜と和えたりして美味しくいただけます。そのまま味噌汁に入れるのもオススメです。
一応、生でサラダに入れて食べることも可能ですが、その場合は採取した場所の環境を考慮しましょう。
また毒性というほどではありませんが、スイバやカタバミなどの雑草のようにシュウ酸を多く含むので、食べ過ぎには注意が必要です。短期的にはお腹がゆるくなる程度ですが、大量に長期にわたり摂取すると尿路結石のリスクが高まります。
やはり生よりは、いったん水にさらしてシュウ酸をある程度抜いたほうがいいでしょう。
スベリヒユ情報まとめ
最近は、オメガ3脂肪酸(ALA)という心臓疾患系のリスクを下げるとされる栄養素が含まれているとしてスーパーフードなどと言われ、食用に栽培までされるようになったスベリヒユですが、その正体は身近な雑草です。
食品の健康効果は、一方には負の面がある(スベリヒユの場合はシュウ酸による結石リスク)ため、真の意味でのスーパーフードなど存在しません。
スベリヒユに関しては水にさらしてシュウ酸の量を減らしたり、純粋に食べ過ぎないようにして上手く付き合っていきたいですね。
いずれにせよ、野草の中では美味であり、簡単に大量に採取することが出来るため食材として優秀です。
庭に生えてきたものや、人の立ち寄らないような場所で見つけたものを、一度食してみてはいかがでしょうか?