毒蛇と言われて、代表的な物はヤマカガシ・マムシ・ハブの3種類でしょう。
特にマムシやハブについては、毎年多くの咬症事故が発生しています。
しかし実際のところ、日本には約20種類の毒蛇が棲息しています。
今回はその中から主要な4種類をピックアップして、毒の種類やその生態をまとめました。
1. マムシ
言わずと知れた日本における毒蛇の代名詞のような存在です。
咬症事故数も最も多く、年間推定3000人以上が被害に遭っていると考えられています。
現在でも年間で約10人が、マムシに咬まれて亡くなっています。
毒の種類は出血毒で、血液や血管系に作用します。
咬まれると局所に皮下出血が見られたり、腫れたりするのが特徴です。
注入された毒量が少なければそれだけで終わりますが、多いと咬まれて2~3日後に急性腎不全を起こすことがあります。
手当が遅れると、命を落とす可能性が高くなるため、早急に病院へ行くことが重要です。
少なくとも6時間以内の血清の投与が推奨されています。
ただしマムシの性格自体はおとなしく、こちらが不用意に近づかなければ咬まれることはありません。
ちょっかいをかけたりせず、マムシの生息地では地面や石垣に注意です。
特に7~8月は妊娠中の雌が日向ぼっこを頻繁に行う時期で、咬まれる事故が多発するので気をつけましょう。
マムシの知られざる生態については過去記事にまとめました。
現在は絶滅危惧種になるくらい数が減っている地域もあるそうです。
2. ヤマカガシ
本州に棲息する毒蛇は、マムシとこのヤマカガシのみです。
かつては無毒だとされていましたが、実際にはマムシ以上の強い毒をもつヘビだということが分かりました。
これまでのところ4人の方がヤマカガシに咬まれて亡くなっています。
ヤマカガシは2種類の毒を持っていますが、咬んで注入する方の毒の強さは、ハブの約10倍・マムシの約3倍と言われています。
咬まれると直後には症状があまり出ません。
その後、多くの場合まず頭痛が起こり、数時間~1日後くらいの間に、出血・腫れなどが起こります。そして数日~10数日をかけて内臓出血や脳出血を発生させるのです。
過去にはヤマカガシに咬まれた10日後に脳内出血を起こして亡くなった人がいるので、大した症状が出ないからと言って放置していると大変なことになります。
3. ハブ
奄美や沖縄諸島に棲息する毒蛇です。
厳密には3種類存在しますが、最も注意すべきはこちらのホンハブです。
上記2種に比べて毒が強いわけではありませんが、首が長くて攻撃範囲が広い・威嚇なしにいきなり攻撃してくる・頭が大きいため毒量が多いなどの理由で危険なヘビとなっています。
現在では血清の普及のため、重大な事故は少なくなっていますが、年間では約100人がハブに咬まれていると推定されています。
直近では2014年に、10年ぶりにハブに咬まれて亡くなった人が出てニュースになりました。
4. エラブウミヘビ
出典:wikipedia
日本産の毒蛇の中にはウミヘビの仲間も含まれます。
実はウミヘビ類の毒は、毒蛇のなかでは最も強いグループです。何気にウミヘビはコブラの仲間ですからね。
主成分は神経毒で、咬まれると麻痺や痺れ、筋肉痛や呼吸困難といった症状があらわれます。
最悪の場合は心臓麻痺で命を落とす可能性もあります。
こちらのエラブウミヘビの毒は、エラブトキシンと呼ばれる神経毒の一種で、その毒はハブの70-80倍の強さと言われています。
しかし性格自体はおとなしく、口も小さいため咬まれる心配はほとんどありません。
日本に住む毒蛇の種類まとめ
日本産の毒蛇は約20種存在すると言いましたが、その多くは性格がおとなしかったり・咬んだとしてもわずかな毒しか注入できない無害なものがほとんどです。
ですから本当に気を付けるべきは、マムシ・ハブの2種類程度だと言えます。
どちらも不用意に近づいて刺激しない限り、あちらから攻撃してくることはないので、適度な距離感をもって毒蛇と接していきましょう。
以上、日本の毒蛇の種類まとめでした!