生物・野食

野食注意】寄生虫の種類・症状・対策まとめ 生食はなぜ危険?

前回、野食の注意として法律面での注意についてまとめました。

今回は、寄生虫の注意について書きます!

去年はアニサキスが話題になりましたが、淡水の魚やカニなどの寄生虫は危険なのか?

寄生虫に健康を害されないための対策は?

などを身近な寄生虫ごとにまとめました。

1. 寄生虫の危険

基本的に多くの生物は何かしらの寄生虫を抱えています。

寄生虫が正常な寄生主にくっついていれば問題なしです。

しかし寄生主が食べられたりして、本来の寄生主ではない生物(今回の場合はヒト)に寄生してしまうと、問題が発生します。

今回は、野食で食べる機会の多いと思われる生物の寄生虫についてまとめました。

寄生虫によって危険性や症状が異なるので、いくつかの寄生虫ごとに紹介します。

 

1. 肺吸虫(吸虫)

主な寄生主

主にサワガニ、モクズガニ。イノシシの生肉からも感染例あり。

 

症状

侵入すると主に肺で暮らすため、症状は呼吸困難、胸痛、胸水、発熱、せきなどです。

 

対策

サワガニ、モクズガニ、イノシシ肉を十分加熱しましょう。
調理に使ったまな板にも寄生虫がついている可能性があるので、そのまま生野菜などの調理に使わないようにしましょう。

 

2. 顎口虫(線虫類)

主な寄生主

ナマズ、ライギョ、ブラックバス、フナ、コイ、ドジョウなどです。

症状

ヒトの体の中に入った幼虫は、胃の壁を食い破って肝臓に達し、その後は体内を自由に動き回ります。

多くの例では痒み程度ですが、時として非常な痛みを伴う発疹を引き起こします。

また、体内を自由に動きまわれることから、幼虫の侵入部位によっては重篤な症状を引き起こします。

目の中に入り込んでしまい失明した事例、喉の中に入り込み喉が腫れてしまい呼吸困難に陥った事例、頭の中に入り込み脳障害を来した例なども報告されています。

引用:愛知衛生研究所http://www.pref.aichi.jp/eiseiken/5f/gnathostomiasis.html

対策

淡水魚の生食を避けましょう。雷魚の刺身が美味しいという噂をよく聞きますがやめるべきです。

 

3. 住血線虫類

主な寄生主

中間宿主がスクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)、タニシ、ナメクジで、それを補食するカニやウシガエルに寄生します。

症状

胃や腸の壁から血液やリンパ液により全身に回り、やがて脊髄や脳などの中枢神経系に集まってきます。そして、幼虫が脊髄から脳に侵入すると好酸球性髄膜脳炎を起こします。

激しい頭痛、発熱、顔面麻痺、四肢麻痺、昏睡、痙攣、神経異常などの症状が約2週間ほどの潜伏期(幼虫が体内に入ってから症状が出るまでの期間)の後に出現すると言われています。

引用:愛知県衛生研究所www.pref.aichi.jp/eiseiken/5f/kanton.html 

対策

カエルや貝の生食を控えましょう。
小さなナメクジは野菜にくっ付いていることがあるので、よく洗ってから食べましょう。

 

4. マンソン裂頭条虫(条虫)

主な寄生主

ヘビ、カエル、イノシシ肉、トリ肉などです。

症状

感染初期には発熱、倦怠感が発生します。

体内を移動するタイプなので、痛みを伴う皮下の腫れ、
脳に入り込んで痙攣、筋力低下、感覚消失、
耳に入り込み聴覚低下、めまい、
肺に入り込んで咳、聴覚低下などを引き起こします。

対策

もう上記と同じですがカエル、ヘビ、イノシシ、トリを生食しないことです。
感染例の多くは、ヘビやカエルをたべたり、トリ刺しを食べたことのようです。

 

寄生虫の注意まとめ

調べていくうちに症状と対策が全て同じような傾向になってきたのでまとめます。

1. 宿主まとめ

基本的にヘビ、カエル、魚、貝などなど全ての動物に、人間に害をもたらす可能性のある寄生虫が存在しています。
安全な生物種は存在しません。

 

2. 症状まとめ

基本的に体内で動き回ったり、吸着することで、体内器官に影響を及ぼします。
脳に入って脳障害、肺に吸着して肺気胸 etc…
重篤な場合は死にいたるケースもあります。

 

3. 対策まとめ

症例の多くがヘビを生食した、サワガニを生食した、ブラックバスを生食した、生食した、生食した、生食した、生食した…………

などなど、とにかく生で生物を食べたことにより感染していました。

よって何かしらの処理をしましょう。
具体的には加熱処理冷結処理が効果的です。

 

どのくらい加熱・冷凍すれば良い?

温度・時間の目安ですが、寄生虫によって異なります。

アニサキス…70℃以上で瞬時に死滅。60℃では一分以上。-20℃24時間以上。
クドア…75℃5分以上。
トキソプラズマ…55℃5分以上。中心が-12℃になるまで。などなどなど……

 

つまり温度や時間うんぬんよりも、中心までしっかり火を通すことが大事です。

 

薬味や冷凍は効果が薄め?

※冷凍が有効な物も多いですが、
家庭の冷蔵庫の-18℃という温度では死なない寄生虫(旋尾線虫、住肉胞子虫など)や冷凍しても死なない寄生虫(トリヒナ・旋毛虫症)がいるので加熱処理の方が無難です。

一般的な量のワサビや酢では効かない寄生虫(アニサキス)がいるので薬味では対処できません。

 

肉以外に寄生虫が付いているケース

その他には、野菜には寄生虫そのもの、その卵、寄生虫に感染した貝・ナメクジが付いている可能性があるので、加熱するかしっかり洗ってから食べましょう。

特にセリやクレソンなどの水辺に生息する植物には、寄生虫が直接付着していることがあるので要注意です(一部の吸虫は中間宿主としてこれらの野草を使います)。

調理に使ったまな板にも寄生虫がついている可能性があるので、そのまま生野菜などの調理に使わないようにしましょう。

 

寄生虫の注意 : 総まとめ

サワガニやライギョを食べるときに、寄生虫に気を付けてねと言われていましたが、今回調べてみて、具体的にどんな寄生虫が付いていて、どんな症状をもたらすのかがハッキリしました。

生食は危険ですが、食材に火をしっかり通して食べれば問題ないので、過度に恐れずに食を楽しみましょう。